不動産投資で陥る罠。節税対策をすると逆に損をする?

蜃気楼不動産投資で利益が出始めると税金の支払いに悩まされるようになります。そうなると節税対策を検討するようになるのですが、ここには大きな罠が仕掛けられています・・。

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節税対策の意義

節税をすると支払う税金が減ります。

例えば、法人の利益が200万円出ている状態だと、中小企業の実効税率が22%程度なので約44万円の税金(均等割を除く)が発生します。

そこで、「大家仲間と飲食して情報交換すれば経費で落ちる!!」ということで、高級店に行きまくり・・。結果、100万円の交際費を計上することにしたとします。

そうすると、狙い通り200万円の利益を100万円まで落とすことに成功するわけです。利益が半分であれば、税金も半分。つまり、44万円の税金を22万円まで減らすことができました。

高級飲食店に何度も行けた上、税金も減ったのであれば万々歳!!ですね。まさに。

節税対策で失ったもの

しかし、この節税対策を行なったことで、失ったものもあるのです。

CASH(キャッシュ)を消失

節税対策を行わなかった場合、利益200万円から44万円の税金を支払うので、156万円の現金が残ります。

しかし、上記の節税対策を行なった場合、利益100万円から22万円の税金を支払った後78万円しか現金が残りません。

つまり、節税対策の結果、156万円の現金が半分(78万円)まで減ってしまっているのです。

不動産投資においては、なるべく多くの見せ金を用意することが重要です。見せ金がない人に銀行はお金を貸してくれないのです。

節税をしないことで、もう一棟物件が買えたら今回の節税額22万円以上のキャッシュ・フローが得られます。税金を支払うことは次の物件を買うための必要経費なのです。

じゃあ、「交際費じゃなくて全額損金の積立型生命保険だったら無駄にならないのではないか?」という疑問もあるかもしれません。確かに積立型の生命保険であれば、将来解約返戻金として現金が戻ってくるので、トータルで見ると現金が減らない上に節税ができます。

しかし、そもそも解約返戻金が収入扱いとなるため、解約返戻金を受け取るタイミングに合わせて大規模修繕や退職金などを発生させないと結局節税になりませんし、一時的に現金が消失することに変わりありません。こういう節税対策は、見せ金が十分にある成功者向けであり、これから成功しようとしている大家さん向けではないのです。

決算書を汚す

銀行は利益をたくさん出している人にお金を貸したいものです。利益が出ている=借金の返済能力がある、となるので当然ですね。

ということは、節税対策をして利益があまり出ていない決算書が出来上がる=銀行からの評価が悪くなる、ということです。

そして、節税の結果、自己資本(資本金+これまでの利益の累積額)が大きくならないため、自己資本比率(自己資本÷総資産)も悪くなります。この自己資本比率の数字が良くないと、銀行からの評価も悪くなります。

つまり、利益を出せば出すほど良い決算書が出来上がるのです。逆に、節税対策をすればするほど決算書が汚れるのです。

銀行に、「節税対策をしたから赤字になっただけで、事業としては回っています。」と説明しても考慮してくれない場合が多いでしょう。特に、格の高い銀行(メガバンクなど)ほど、過度な節税対策を嫌がる傾向にあります。

そこまでして、節税対策をやりますか?成功してからで十分じゃないですか?

税務調査を誘発?

さらに怖いのが税務調査です。

税務署は、きちんと納税してくれる人には優しいのですが、節税対策などで少しでも納税額を減らそうとする人に対しては厳しいところです。

上記の例の売上高が1000万円とします。節税対策後で売上高1000万円、交際費100万円、利益100万円です。交際費比率(交際費÷売上高)は10%。

業種によって、交際費がどのくらい発生するかという目安を税務署側も把握しており、不動産賃貸業における交際費は通常低くなると思われています。実際、低くなるはずです。

そこで、不動産賃貸業で売上高が1000万円しかないのに、100万円も交際費が発生していたら明らかにおかしいです。こうなってくると、この会社に税務調査に行ったらたくさん指摘できそう、と税務署に思われ、格好のカモとなってしまうのです。

もちろん、交際費ではなく、生命保険やセーフティ共済などで節税していれば税務調査となってしまうリスクは上がりません。節税の仕方にも気をつける必要があるということですね。

まとめ

以上、節税対策で陥る罠について説明しました。確かに税金を払うとものすごく損をした気分になるのですが、手元に残る現金も大きくなり、良い決算書も作れます。そして、たくさん銀行から融資を受けてどんどん規模を拡大しましょう。

通常お客様から節税を期待される税理士が言うのもなんですが、

節税するより事業で成功しましょう!!

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