レバレッジ効果がもたらす不動産投資の光と影を考える

光と影

不動産投資において、銀行融資を受けて不動産を購入するメリットはとても大きいのですが、扱い方を間違えるとハイリスクな投資となってしまいます。今回は、そんなレバレッジの光と影について説明したいと思います。

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Contents

レバレッジとは

レバレッジとは、「てこの原理」のことで、小さな力で大きな効果を得ることをいいます。

不動産投資(不動産賃貸業・大家)においては、銀行から融資を受け、自己資金だけでは到底買えないような物件を購入し、投資効率を高めることが可能となります。

レベレッジ効果の検証

レバレッジをかけることでどれだけ効果があるのか?

例えば、あなたが1000万円の自己資金を持っていて利益率10%の不動産投資を行う場合を検証してみます。

レバレッジなしの場合

レバレッジをかけない場合、必然的に現金で不動産を購入することになります。

自己資金が1000万円のため、MAXで購入できる不動産価格は1000万円です(通常、不動産価格の7%前後の初期費用がかかりますが、単純化のため除外します。また、不動産購入後も一定額の自己資金を保有していないと不意なアクシデントに対応できません)。

不動産価格1000万円 ✕ 利益率10% = 利益100万円

利益は100万円になりました。本来ならば経費や税金もかかるので手取額はこれよりも減少します。

レバレッジありの場合

次にレバレッジをかけた場合を検証してみます。

単純化のため、購入する不動産価格は1億円、銀行融資額9000万円、元金返済額300万円、利息3%とします。

不動産価格1億円 ✕ 利益率10% ー 元金返済額300万円 ー 利息9000万円 ✕ 3% = 利益430万円

銀行融資の元金返済と利息があるものの、それを差し引いてもレバレッジなしの場合の4.3倍の利益となりました。

同じ自己資金を投入したにも関わらず、高いリターンを得ることができたことがわかります。

もちろん融資完済後は、さらに差が拡大することになりますね。

ハイレバレッジ投資の落とし穴

上記を見る限り、レバレッジをかければかけるほど利益が増えて良いことだらけのように思えます。レバレッジが高いことをハイレバレッジといいますが、実はハイレバレッジによる投資には落とし穴が潜んでいます。

レバレッジの本質

レバレッジの意味は、利益が倍々ゲームのように増えることではありません。小さい力が他の力を借りて大きくなるだけです。この場合の力は、「正」の力だけを意味するわけではありません。つまり、損失が発生した場合には、損失も倍々ゲームのごとく増えてしまうのです。

レバレッジは、ボラティリティ(変動幅)が拡大するというのが本質です。したがって、自分自身が背負えるリスク以上のレバレッジをかけてはいけません。

レバレッジの正しい扱い方

レバレッジには正しい扱い方があります。ポイントとなるのが、キャッシュ(現金)の残高です。

「負」のレバレッジへの対応

事業がうまくいかなくなった場合、自己資金から損失を穴埋めする必要が出てきます。レバレッジをかけていると、この損失額が多額になる可能性があります。将来の損失の発生額と発生可能性に留意し、一定額のキャッシュを常に保有することが重要です。

キャッシュの温存

キャッシュの温存のためにレバレッジを活用するというのが、最も賢い使い方です。

自己資金が1000万円の場合に、1000万円の不動産を購入してしまうと、保有する自己資金がゼロとなり、修繕等の不意なアクシデントに対応できなくなるばかりか、次の不動産購入の時期が大幅に遅れてしまいます。

自己資金1000万円を見せ金として、1000万円の銀行融資を受けて1000万円の不動産を購入すること(不動産価格と同額の融資を受けることをフルローンといいます)が出来れば、投資効率を最大限に高めることが可能です。自己資金1000万円がそのまま温存されるので、次の不動産をいつでも購入することができますし、アクシデント対応の面でも問題ありません。

誤解しないで頂きたいことは、フルローンをオススメしているわけではありません。自己資金がない人がフルローンで不動産を購入することはハイリスクです。あくまで、自己資金がある人が自己資金を温存するためにフルローンを受けることが有利というだけです。

最後に

レバレッジは、「正」にも「負」にもなり得ます。キャッシュの残高に常に気を配り、正しくレバレッジを扱えるようになりましょう。

事業を長期的に継続できることが何より重要です。あなたがハイレバレッジ投資の落とし穴に嵌って、帰らぬ人にならないことを願います。

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