減価償却費とは?定額法や定率法による計算方法と特別なメリット

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今回は、会計を知る上で重要な減価償却費について説明したいと思います。ほとんどの企業で減価償却費が発生しますので、決算書を読む時にもきっと役に立つでしょう。少し難しいかもしれませんが、お付き合い下さい。

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Contents

減価償却費とは

減価償却費とは、長期間利用できる資産(車や建物など)を購入した場合に、購入したその年に一括で経費にするのではなく、会計上いったん資産として計上し、その後、資産を利用できる期間にわたって徐々に経費にしていくことを言います。資産の一部を経費にする度に、資産の金額を同額減らしていきます。

(例)600万円の車を購入し、年間100万円ずつ減価償却費として経費にする。

(購入時)資産 600万円

(1年目)資産 500万円、経費 100万円

(2年目)資産 400万円、経費 100万円

(3年目)資産 300万円、経費 100万円

(4年目)資産 200万円、経費 100万円

(5年目)資産 100万円、経費 100万円

(6年目)資産  なし 、経費 100万円

なお、1年目は年間分(100万円)全額が経費になるのではなく、購入時からの月数分だけ経費になりますが簡便的にシミュレーションしてみました。

車や建物は長期間利用できるので、資産計上はせず、購入したその年に一括で経費にしてしまうのは少し違う気がしませんか?ただ、永久的に使えるものでもありません。そこで、時間が経つにつれて劣化し資産の価値が減っていくと考え、劣化に合わせて資産の金額を減らし経費にしていきましょう、というのが減価償却の趣旨です。

例外

例外として、購入する資産の金額が低ければ減価償却以外の方法を適用できます。

10万円未満の資産 ⇒ 一括経費でOK

10万円以上20万円未満の資産 ⇒ 3年間で均等償却

なお、青色申告をしている個人事業主や中小企業の場合は上記の限りではなく、10万円以上30万円未満の資産も一括で経費にすることが可能です(合計300万円が限度)。

法定耐用年数

減価償却は資産を利用できる期間にわたって経費にしていく処理ですが、この資産を利用できる期間は自分で勝手に決めることができません。「何となく10年ぐらい持ちそうだから10年で減価償却しよう」は駄目です。

実は、資産の内容ごとに税法で年数が決められており、それを法定耐用年数と呼びます。

法定耐用年数はかなり細かく決められており、このブログで記載するのは避けますが、気になる人は下記の国税庁のHPで確認できますので見てみて下さい。

国税庁HP

例えば木造アパートの法定耐用年数は22年になりますが、実際に22年しか使えないわけではありません。減価償却費を計算する上での仮定と思ってください。

なお、法定耐用年数はあくまで新品の資産を購入した場合が対象で、中古で購入した場合はまた別の耐用年数になります。中古資産の耐用年数は下記の記事をご覧ください。

減価償却費。中古資産特有の耐用年数を計算する方法
中古資産の減価償却費を計算する際に、法定耐用年数ではなく中古資産特有の耐用年数を採用することができます。今回は中古資産特有の耐用年数の計算方...

減価償却方法

減価償却の方法にはいくつか方法がありますが、代表的な2つの方法をご紹介したいと思います。

(例)100万円の資産を購入。法定耐用年数は10年とする。

定額法

計算方法:購入金額÷法定耐用年数 or 購入金額×定額法の償却率(法定耐用年数10年だと0.100)

計算:100万円÷10=10万円 or 100万円×0.100=10万円

(購入時)資産 100万円

(1年目)資産 90万円、経費 10万円

(2年目)資産 80万円、経費 10万円

結果:定額法では毎年同額の減価償却費が計上される

定率法

計算方法:資産残高(=購入金額−減価償却費の累計)×定率法の償却率(法定耐用年数10年だと0.200)

計算:

(購入時)資産 100万円

(1年目)資産 80万円、経費 20万円(=100万円×0.200)

(2年目)資産 64万円、経費 16万円(=(100万円−20万円)×0.200)

結果:経費の額は最初の年ほど多く、年数が経過するとともに減少する

早い時期に多く経費を計上したい場合には定率法が有利です!ただ、建物・建物附属設備・構築物については定額法しか認められておらず、定率法が使えませんのでご注意を。

減価償却費の特別なメリット

減価償却費は、節税上重要な性質をもっています。

それは、減価償却費として経費になるのにキャッシュの支払いが発生しないということです。

普通何かモノを買えば経費になりますが、当然キャッシュもなくなりますよね。100円のモノを買えば経費になりますが、経費になることで減る税金は20円〜30円程度でしかありません。支払った分のうちいくらかが戻ってくるだけです。

対して、減価償却費の場合は、キャッシュがなくならないのに税金の支払額が減るので、資金繰りがかなり楽になります。

減価償却費の計算方法よりも、このメリットの方を必ず覚えておいて下さい!

経営上この性質は超重要です。

最後に

減価償却費について何となく理解できましたか?減価償却費は金額も大きくなりがちです。減価償却費の性質を理解し、経営に役立てて行きましょう!

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