現金主義会計と発生主義会計の違いを例題で解説します!

2人の違い

個人事業の確定申告や法人の税務申告をするときは、現金主義会計ではなく発生主義会計で記帳する必要があります。発生主義と言われても何のことかわからないと思うので、今回は現金主義と発生主義の違いを例題を使って説明したいと思います。

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現金主義と発生主義の違い

現金主義と発生主義は、売上や経費の計上タイミングに大きな違いがあります。

現金主義・・・現金が実際に動いたときに、売上・経費を計上する

発生主義・・・現金の動きに関わらず、認識すべき期間に売上・経費を計上する。

例題1 基本

これだけだとわからないと思うので、例題で考えてみます。

(例)2015年12月1日に商品(100円)を顧客に引き渡したが、掛けによる売上だったため2016年1月1日に入金された。

現金主義の場合

(2015年12月1日)仕訳なし

(2016年1月1日)現金 100 / 売上 100

発生主義の場合

(2015年12月1日)売掛金 100 / 売上 100

(2016年1月1日)現金 100 / 売掛金 100

売上(収益)の計上タイミングが異なることがわかると思います。個人事業だと12月末が期末日ですので、現金主義と発生主義のどちらで計上するかで2015年の売上となるか2016年の売上になるかが変わってきます。

例題2 経費が未払いだった場合

もう一つ例題をご紹介します。こちらは経費(費用)が未払いだった場合です。

(例)2015年12月1日に銀行から1,000,000円を借り入れた。利息は年利3%で、半年ごと(5月末、11月末)に利息を支払う。

現金主義の場合

(2015年12月1日)現金 1,000,000 / 借入金 1,000,000

(2016年5月31日)支払利息 15,000 / 現金 15,000

(2016年11月30日)支払利息 15,000 / 現金 15,000

発生主義の場合

(2015年12月1日)現金 1,000,000 / 借入金 1,000,000

(2015年12月31日)支払利息 2,500 / 未払利息 2,500

(2016年5月31日)未払利息 2,500 / 現金 2,500

           支払利息 12,500 / 現金 12,500

(2016年11月30日)支払利息 15,000 / 現金 15,000

(2016年12月31日)支払利息 2,500 / 未払利息 2,500

上記のとおり、現金の動き(利息の実際の支払い)がまだなかったとしても、発生主義では決算で既に支払いが確定している経費(上記でいうと12月分の利息)を追加計上しています。利息が期末時点で未払いなだけで、本当は12月分を支払わなければいけないことに変わりありませんからね。12月分の利息を決算に織り込まないと、正しい一年間の利益を計算できません。それに、実際に支払っているかどうかだけで年間の利益が変わるのであれば、先方に言って支払う時期を変えてもらうだけで利益を操作できてしまうので問題になってしまいます。

例題3 経費を前払いした場合

経費を前払いした場合は、例題2と逆の処理が必要になります。

(例)2015年11月1日に一年分(2015年11月〜2016年10月分)の火災保険料120,000円を支払った。

現金主義の場合

(2015年11月1日)保険料 120,000 / 現金 120,000

(2015年12月31日)仕訳なし

発生主義の場合

(2015年11月1日)保険料 120,000 / 現金 120,000

(2015年12月31日)前払費用 100,000 / 保険料 100,000

(2016年1月1日)保険料 100,000 / 前払費用 100,000

上記のとおり、現金主義では火災保険料全額の120,000円が2015年の経費になりますが、発生主義で2015年の経費になるのは20,000円だけです。発生主義では、2015年11月〜12月の2ヶ月分しか経費計上が認められません。ちなみに、前払費用という勘定科目は「費用」という名前がついていますが資産科目になります。

発生主義のメリット・デメリット

現金主義の場合は「実際の現金の動き」と「業績」が連動するため、現金主義の方がわかりやすいと考える経営者もいるでしょう。

しかし、毎月の業績を適切に管理するのであれば発生主義で管理する必要があります。というのも、上記の例題1のように掛けで売り上げた場合、現金主義では実際に入金されるまでいくら儲かったかがわかりません。

また、例題2のように利息の支払いが年2回の場合は、利息を支払った月だけ経費が多くなってしまいます。現金主義で業績の月次推移を作ると、月によってバラツキが出てしまうのです。これでは毎月の業績がどのように変動しているかが見えづらくなってしまいますよね。利益が出た原因を分析するためにも発生主義で処理した方が良いのです。

簡便的にやりたいなら・・

発生主義で毎月処理するのは大変です。だからといって現金主義では基本的に決算ができません(後述します)。その場合、期中(毎月の処理)では現金主義で処理をし、決算のときだけ発生主義になるように調整するやり方が簡単です。

つまり、決算のときだけ未払いのものがあれば追加計上し、前払いのものがあれば来期の経費になるように調整するのです。

このやり方だと毎月の業績管理がおろそかになってしまうデメリットがあるものの、極力楽をすることができます。

白色申告・青色申告の場合は基本的に発生主義

最後に、どのような人が発生主義での処理を求められるのか説明します。

個人事業の白色申告・・・発生主義

個人事業の青色申告(10万円控除)・・・発生主義(届出をすれば現金主義も可 ※)

個人事業の青色申告(65万円控除)・・・発生主義

法人・・・発生主義

※ 前々年分の所得が300万円以下の人のみ

現金主義でOKだったら楽ですが、上記のとおり、基本的には発生主義での処理が必要となってしまいます・・。白色申告でも発生主義で処理が必要なのは結構な負担ですね。

補足ですが、発生主義を取っている場合でも、毎月発生する電話代や電気代などは現金主義で会計処理することができます。これらの毎月発生する少額経費は、年間で12ヶ月分が計上されていれば利益への影響がほとんどないからです。

最後に

「経理」という言葉は経営管理の略です。発生主義で処理することは経営管理(毎月の業績の管理)をする上で有用です。面倒ですが、毎月発生主義で記帳することをおすすめします!

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